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世界が認めたメタルワーク 職人技×最新テクノロジー
2019.09.24 | INFORMATION
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1933年東京・墨田区菊川町で創業され、1951年に菊川工業の名で法人化し、以後建築向けの金属加工技術にこだわり続けてきた。東京タワーの展望台など、古くより多くの著名建築の金属外装などを手掛けている。
建築家、設計者の特別なオーダーに応じた、チャレンジングな仕事も引き受け、さまざまな経験とノウハウを積み重ねてきた。曲げや溶接、パンチングから磨きやブラストなどの表面処理など、金属加工といってもさまざまな技術があるが、同社では職人の手業と、最新のテクノロジーの巧みなコンビネーションで、建築が求める多様な課題へソリューションを生み出してきている。金属そのものが持つ高い機能性を生かしながら、建築の意匠性や存在感を高めることで、新しい建築のありように貢献してきたといってもいい。
同ビルのファサード。上部のブロンズ製フィンパネルが特徴的
こうした精緻で洗練された日本の技術は海外でも高い評価を受け、同社でも積極的に海外プロジェクトを手掛けるようになった。世界的な建築家、ノーマン・フォスター卿率いる、フォスター・アンド・パートナーズの設計によるブルームバーグ社のヨーロッパHQ。王立英国建築家協会(RIBA)のスターリング賞も受賞した、ロンドン中心街シティに建つこの建築にも同社の技術が多数採用された。
外装の主要部材であるブロンズ色のフィン状パネルは、複雑なRを組み合わせた曲面を手作業の溶接で実現した。外壁のパンチングルーバーは、ひだ状に凹凸のあるパンチングパネルをR加工し、更にパンチ位置を縦方向でそろえるという建築家のこだわりに応えた。そして、内部空間のハイライトとなる3次元ループの大階段は、2.6m×2mという大型銅板をFSW(摩擦撹拌接合)で製作し、それぞれをレーザー溶接で接合して、曲線を描く複雑で流麗な形状につくり上げた。
エイベックスビル(東京・青山)の受付カウンター。ステンレス製、高さ3.5m、幅4m
人が想像できるものは大抵実現できるという。近年では大型の建築プロジェクトだけでなく、インテリアや店舗ファサード、門扉など比較的小規模な物件に向けたオーダー製作物も積極的に受注しており、その実績を増やしている。その一例が、エイベックスビルのブランドロゴ型受付カウンター。四方パネルに囲まれたサイコロのような立体形状は、一枚一枚形の異なるパネルを3㎜のジョイントで組み付けて実現した。柔軟な製作体制や高度な溶接技術、3次元設計技術と高精度な施工力で、受付カウンターとしての機能を確保しながら、シームレスに見せたいというデザイナーのこだわりを形にした。
日本をはじめ、すぐれた建築家やデザイナーの無限の創造性を現実化する、菊川工業の職人技と最先端のテクノロジー。建築や空間デザインの可能性を、大いに広げていくはずだ。
優美な曲線を描くブルームバーグ社(ロンドン)の大階段
菊川工業
- TEL. (03)3634-3231
- URL. https://www.kikukawa.com/