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世界最大のライティングトレードショーに見る照明技術の潮流 「香港インターナショナル・ライティング・フェア(秋)」&「香港国際アウトドア&テック・ライト・エキスポ」レポート
2016.11.15 | REPORT
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10月27日〜30日に香港コンベンション&エキシビション・センター(HKCEC)で「香港インターナショナル・ライティング・フェア(秋)」が、10月26日〜29日にアジア・ワールド・エキスポ(AWE)で「香港国際アウトドア&テック・ライト・エキスポ」が開催された。会期中には148の国および地域から約7万7000人のバイヤーが訪れ、世界最大のライティングトレードショーにふさわしい盛り上がりを見せた。37の国および地域から出展した3000以上のブースがひしめき合う会場内には、ライティングにまつわるさまざまな商品やサービスが並び、それらを眺めていくことで照明技術の今とこれからが垣間見えてきた。
成長を続けるライティングトレードショー
「香港インターナショナル・ライティング・フェア(秋)」では、照明器具の特徴を踏まえ、会場を複数のゾーンで構成。ブランドコレクションを展開する「ホール・オブ・オーロラ」やエネルギー効率をテーマにした「LED&グリーン・ライティング」の他、職場やオフィス、店舗向けの「コマーシャル・ライティング」、機能照明と装飾照明を幅広く取りそろえる「家庭用ライティング」、スマート・ライティングのコンポーネントを提供する「スマート・ライティング&ソリューション」など、ゾーンの分類は多岐に渡る。
約7万㎡の展示場スペースを誇るHKCECが会場として用意されたが、出展ブースがホワイエにも溢れる程で、主催者である香港貿易発展局の展覧事務部・マネージャーのRebecca Soさんは、「今年からアウトドアライティング関係については、『香港国際アウトドア&テック・ライト・エキスポ』として、AWEで独立して開催するに至った」と語る。
「『香港インターナショナル・ライティング・フェア(秋)』の出展者数は、香港を始めとして、中国大陸や台湾を中心に、今も増加の一途を辿っています。また、今年はカナダやハンガリー、UAEからも出展があるなど、新たな参加国も増え続けています。そのような中で、『香港国際アウトドア&テック・ライト・エキスポ』を、『エコ・エキスポ・アジア』や『香港国際建築資材展2016』が同時期に開催されるAWEで展開することになりました。アウトドアライティングは、政府主導の照明政策などといった追い風もあり、今後の成長が見込まれる分野です。また、アジアでのビッグプロジェクトが増えつつあり、マーケットの強いニーズを感じる分野でもあります。今後は、この二つのイベントを通して、ライティングトレードショーにおける世界一のプラットフォームを構築していきたいと考えています」
独自の切り口で世界のマーケットに挑む出展者
出展者との会話の中で聞いた「バイヤーは、トレジャー・ハンターの気分で会場を訪れる」という言葉の通り、会場内はさまざまな照明器具で溢れていた。国際規格には準じているものの、他者との差別化を見いだしにくい出展者も少なくなかったことは否めないが、そのような中でも世界のマーケットを視野に新たな試みに挑む出展者も見掛けることができた。
香港で2014年に設立され、エジソン電球型LED照明「SIMBULB」を手掛けたSIM Lighting Design Company Limitedも、世界進出を目指す出展者の一つだ。エジソン電球型LED照明自体はここ数年、飲食店やブティックを始めとして日本の商業施設でも多く見られるアイテムであり、会場内でもさまざまな商品を見たが、「現在のマーケットに求められる既製品にブラッシュアップを施していくこと」を目的とする同社では、LEDのフィラメントに注目。円状のフィラメントを渦状にカットし、螺旋状に広げて球状にすることで、360°に発光することを可能にした。
ちなみに、これまでの電球が270°までしか発光できなかったことを踏まえると、同社の精神が反映された製品であることがわかるだろう。また、同製品は日本のグッドデザイン賞を受賞。残念ながらまだ日本の代理店との契約には至っていないが、同社・ビジネスディベロップメントマネジャーのAndy Ngさんは、「既にヨーロッパでは小売り展開しており、生産数を増やして既成品との価格帯を縮めていきたい」とを意気込みを語る。
加速するスマート・ライティングの進化
今回のトレードショーで最も勢いのある潮流を感じられたのが、スマート・ライティングの分野である。香港に本社を持ち、ヨーロッパを中心に世界展開する照明器具メーカーのMEGAMAN社では、「INGENIUM BLU」と「INGENIUM ZB」の二つのラインナップを展開。「INGENIUM BLU」は、小規模な空間での使用を想定しており、bluetoothを介してスマホやタブレットから調光・調色を可能にする。一つのアプリで最大64個の照明器具を制御し、シーンのセッティングも自在だ。また、既存の照明器具も制御可能となるアダプタも開発されていた。器具もコンパクトで、既存の一般家庭にも導入しやすいシステムと言えるだろう。
一方、「INGENIUM ZB」は、ZigBeeを介して照明器具のみならずテレビや空調設備、ホームセキュリティーなども制御するもので、大規模空間や複雑なシーン設定が求められる空間での使用を目的に開発された。「INGENIUM BLU」の機能に加えて、照度や温度、水量、モーション、マグネットセンサーなどを通して、空間の変化に対応するセッティングが特長である。ゲートウェイを接続すれば、スマホやタブレットを介して遠隔地からの操作も可能になる。例えば、ホテルでチェックイン時にフロントスタッフが客室の環境を制御するなど、商業施設においてはさまざまなシーンでの使用が想定されるだろう。
両システムを発表したMEGAMAN社も、スマート・ライティングの進化はまだ始まったばかりであり、進化のスピードは早く、毎年新たな商品を展開することになるだろうと考えている。なお、シーン設定については専門スタッフをそろえており、ホームユース用にはトレーニングビデオも用意しているとのこと。システムと共に表現方法の進化および普及が期待される。
アウトドアライティングに求められるソリューション
「香港国際アウトドア&テック・ライト・エキスポ」では、プロ用・工業用照明器具や、広告用照明器具、ライティング・アクセサリー、部品&コンポーネントなど、エクステリアをテーマにしたさまざま照明器具が並んだ。中でも、マレーシアで空港など大型施設の照明計画を手掛けるGruppe Lighting Solution社など、照明器具の販売だけでなくソリューションを展開する企業が多く見られた。
期待される日本企業の参加
今回のイベントは、海外でも設計を手掛ける日本人デザイナーにとって、現地で調達する照明器具のラインナップを知る良い機会となったことだろう。会場内で日本語を聞く機会は少なくなかった。日本からの出展者数については、あまり多いとは言えなかったものの、小泉産業(香港)有限公司の石井宏さんは、ターゲットとなる来場者の存在について語ってくれた。
「来場者の多くは照明器具を直接買い付けようとするバイヤーの方々ですが、ライティングデザイナーやクオリティーを求められる商業施設を手掛ける施工関係者などもいらっしゃいます。ブースでは、日本の最新ラインナップを紹介すると共に、香港の事情に合わせて柔軟に開発されたプロダクトを展開することで、広くニーズに応えたいと考えました」
また、香港貿易発展局のRebecca Soさんも、「是非、世界中のバイヤーとつながるチャンスを利用していただければと思います」と日本からの出展者数の増加に期待する。次回の「香港インターナショナル・ライティング・フェア(春)」は、2017年4月6〜9日の会期で開催が予定されている。
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