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本格的にオフィスデザインに参入した不動産コンサルティング企業の総合力/ジョーンズ ラング ラサール(JLL日本)
2024.05.28 | REPORT
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国際的な不動産総合コンサルティング企業であるジョーンズ ラング ラサール(以下JLL)。国内でもグローバル企業や日本の大企業を顧客として、オフィス関連のプロジェクトを手掛けている。JLLは多国籍企業として出自や資本が海外というだけでなく、日本国内のデザインチームもアジア・太平洋地域の一員として、日常的に他の国・地域のチームと密接に連携しながら、業務を進めている。
今回、同社がオフィスのデザインとプロジェクトマネジメントを担ったヘンケル社はドイツに本社を置き、洗剤や接着剤などを製造・販売する世界的な化学メーカー。日本ではヘアケア用品のブランド「シュワルツコフ」でも知られる。HENKEL JAPANは2022年に資生堂の業務向けヘアケア用品の事業を買収し、国内拠点の整備として、東京のオフィスをリニューアルした。品川・天王洲にある東京本社とジャパンビューティーイノベーションハブ(研究開発施設)の二つを同時に進行。600人程度が勤務し、4フロア、約3100㎡という規模となる。
DXやリモートワークが進む中、オフィスの求心力を持続し、イノベーションやコラボレーションが促される空間づくりが志向された。全体としてABW(アクティビティー・ベースド・ワーキング)を採用。フリーアドレスを中心にさまざまなワークスタイルをサポートし、従業員の自主性や多様性を重んじたものとなっている。
東京本社オフィスには「コラボレーションスペース」として、従業員の交流、社内イベント、プレゼンテーションなど多様な使い勝手を許容するエリアも用意した。
JLLは、デザイン構築の早い段階からフル3DCGを多用、いわゆるウォークスルー動画でクライアントと提案内容を共有し、早期に判断できる体制をサポート。レイアウトの検討から、テクスチャーや色、各種造作まで3D視点の体験ベースで行うため、過誤や戻りも少なくなる。要望や修正も即座にCGに反映する。
また今回のプロジェクトでは、国際企業であるヘンケル社のデザインコードを踏まえた上で、デザインはタイ・バンコクのチームが進め、日本では現場側の調整や工事業者の入札・選定などを並行して進めた。もちろん、オンラインでのデザインミーティングで全チームが情報共有する。国・地域を跨いだコラボレーションワークがJLLでは通常のことだ。
結果、2022年4月にプロジェクトがスタートし、同年9月には本社オフィスの入居・供用が始まったという、規模に対して驚くべきスピードが実現している(全体では11月に完了)。JLLの持つ国際水準の提案力とデザインコントロール、それに施工コストやスケジュール管理までが一括して遂行されたかたちだ。
オンラインでのやり取りやCG/BIM活用、多言語でのコミュニケーションなど、個々では一般的に業務で用いられるようになってきたが、それを総合的にかつ高水準で提供できるのが、グローバルコンサルティングであるJLLの強みだ。2024年4月からはJLL東京オフィスにワークプレイスに特化したインテリアデザイナーが集結したデザイン部門、JLLデザインソリューションズが発足。JLLとしてPMサービスから設計、施工までもワンストップでオフィス関連プロジェクトに対応することが可能な体制となった。
HENKEL JAPAN DATA
床面積 3100㎡
施設利用従業員数 600人(平均出社率70%)
工期 2022年4月~2022年11月
竣工:2022年11月