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SDGs、脱炭素社会、気候変動という環境にまつわる言葉を目にする機会が増えるにつれ、人々の環境への意識は年々高まっている。日本でも、2030年までに温室効果ガス排出量を46%削減（2013年比）し、2050年には完全なカーボンニュートラルの実現を目指すという目標が掲げられている。「環境への配慮」という観点から、働く場所や消費行動を決定するライフスタイルを選ぶ人も少なくない。だからこそあらゆる業種や業態の企業に、環境に対する姿勢に対して、鋭い視線が注がれている。建築、インテリア業界も例外ではない。空間づくりにおいて、環境への負荷が少ない建材を使うことや、リユース、リサイクルが可能な素材を選定するなど、クライアントから求められる場面も増えている。そうした需要に応えるべく、設計者やデザイナーは、環境に配慮した建材や仕上げ材の探求に余念がない。
家具の輸入・製造メーカーのフレイスは、近年環境配慮を念頭に置いた商品開発を行っている。同社取締役ゼネラルマネージャーの髙久さんは、次のように語った。「以前、植物由来の「BENEBiOL（ベネビオール）」を配合した「バイオペイント」を、木製テーブルに採用しましたが、「BENEBiOL」を手がける三菱ケミカルに話を聞いたところ、チェアやソファーでも活用可能な小松マテーレがつくる合成皮革「BIODIMA（ビオディマ）」の存在を知りました。早速サンプルを取り寄せてプロトタイプを作成。チェアに張ってみると、従来の合成皮革にはないシルキーなタッチ感と高級感に驚きました。しかも、高耐久な性質を持つということから、製品開発の幅が広がっていく可能性を強く感じました」「ビオディマ」は、植物由来の原料を一部に用いた環境配慮型の合成皮革で、三菱ケミカルが製造する植物由来ポリカーボネートジオール（PCD）「BENEBiOL」が使用されている。
ポリカーボネートジオール（PCD）とは、ポリウレタン樹脂の原料であり、耐久性に優れ、合成・人工皮革のほか、塗料やコーティング材など、多種多様な用途への活用できる。従来のPCDは石油からつくられるが、三菱ケミカルが新たに開発した「BENEBiOL」は、全く新しい化学構造を持つ植物由来のPCDだ。耐久性や耐薬品性をポリウレタン製品に付与し、家具の長期使用における表面のべたつきやひび割れ等の劣化を抑制する。
今回、「BENEBiOL」を使用した合成皮革を座面と背面に張ったチェアに座ってみると、適度な反発力がありながら、包み込まれるようなホールド力を感じた。従来の合成皮革と比べ、より高耐久な機能を持つ点は、作り手と使い手にとっても大きな魅力と言えよう。環境に配慮された合成皮革が存在するという事実は、インテリア界にとって吉報であり、開発者やデザイナーの想像力をより活性化させるに違いない。今後、植物由来かつ高耐久な原料を活用したさまざまなマテリアル、さらには建材や仕上げ材等が誕生すれば、持続可能な社会に向けての推進力はより高まっていくことだろう。