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土地の光と景色になじむ「Ultrasuede® for Wallcovering」がディスティネーション型の体験価値を引き上げる/東レ

2024.03.28 | REPORT

上/「LIVING」2階の客室からは建物前の瀬戸内海を臨める。「Ultrasuede® for Wallcovering」が受けた自然光がグラデーション状に緩やかに室内へと広がる


広島・生口島の玄関口である瀬戸田港から徒歩1分の場所に、地元民が集い、 旅人が街の文化を体験する施設「SOIL setoda」がある。
そうした人々の体験を支える同施設の一部には 壁装材「Ultrasuede® for Wallcovering」が採用されている。 サステイナブルかつ準不燃認定の同素材にはどのような魅力があるのか。 空間設計を手掛けた設計者に聞いた。

島一番のデートスポット

瀬戸内海を渡るしまなみ海道の中ほどに浮かぶ尾道市瀬戸田町・生地島。尾道からの船が行き来するこの島の港近くに「SOIL Setoda」はある。空間設計を手掛けたSTUDIO DIG.の米山宏介さんは、施設のコンセプトをこう説明する。
「島に足りないものを考えた時、港近くに船を待つちょっとした時間に休む場所や島の情報を収集するスポット、早朝や深夜に開いている飲食店、複数言語に対応する店舗がないこと。アクティビティーや低価格で泊まれる施設が少ないことなどが浮き上がってきました。ここでは、“観光客が立ち寄れる場所をつくる”と“島一番のデートスポットをつくる”という二つのミッションを掲げ、コンセプトを練り上げていきました。そうして僕らが辿り着いたのが、“KOMINKAN=公民館”というコンセプトでした。プロジェクトは施設から続く300m余りのしおまち商店街活性化の一環でもあり、目指したのは観光客はもちろんのこと、地元の人たちにも開かれた場づくりでした」SOIL Setodaは築70年の蔵を改装した「KURA」と、道を挟んだ「LIVING」で構成される。開業からおよそ3年が経った今、KURAには「OVERVIEW COFFEE」のコーヒーを飲みながら周辺の情報を得たり、アクティビティーの申し込み、食のセレクトショップ「ひふみ」で島の名産品を買い求める観光客の姿がある。一方のLIVINGでは、1階の食堂「MINATOYA」で2階の宿泊施設「SOIL Stay」に逗留するインバウンド客と地元の人たちとが同じテーブルを囲み、郷土料理と会話を楽しんでいる光景が見られるなど、そのコンセプトは具現化され、機能し始めている。


「KURA」1階のアクティビティセンターの一画に設けられたベンチには、手触りが良く、触れた人の五感に訴えかける「Ultrasuede® HP」が採用されている
「KURA」1階のアクティビティセンターの一画に設けられたベンチには、手触りが良く、触れた人の五感に訴えかける「Ultrasuede® HP」が採用されている

客室の壁面を見る。壁面に採用した「Ultrasuede® for Wallcovering」がベッドサイドに置かれた照明器具の 光を柔らかく反射し、客室を温かく包み込む
客室の壁面を見る。壁面に採用した「Ultrasuede® forWallcovering」がベッドサイドに置かれた照明器具の光を柔らかく反射し、客室を温かく包み込む

陽の光や景色を魅力的に見せる Ultrasuede® for Wallcovering

SOIL Setodaの空間デザインについて、米山さんは、「僕らが大切にしたのは、地元の人が気兼ねなく入ってこられることと心地の良さでした」と語る。「生口島としおまち商店街の活性化が目的なので、ここは通過点であるべきだと考えました。LIVING1階のMINATOYAではテーブル数を減らし、階段状の席も設けたフルオープンな空間としました。これによって、人が気軽に入れ、滞留でき、そのまま商店街へと抜け出られるようになっています。また、心地良さの観点から素材にもこだわりました。地元の人が立ち入るのに躊躇するような尖ったインテリアではなく、県産の木材を中心に使い、日本に古くからあるヴィンテージ家具や備後絣の座布団、手漉き和紙の照明などを配し、優しく、柔らかな雰囲気をつくっていきました」
更に米山さんは、「デザインに土地の産物を取り入れる土着性は大事なことです。でも、バランスも大事だと考えています」と付け加える。そこで採用されたが、東レの「Ultrasuede®」である。米山さんは、2014年にこの素材と出会い、以来、さまざまな商業空間のデザインに採り入れてきた。SOIL Setodaでも、SOIL Stayの四つある客室の壁面に「Ultrasuede® for Wallcovering」を、KURAとMINATOYAのベンチシートに「Ultrasuede®HP」を採用している。
「SOIL Stayの客室は最大で23.9㎡とコンパクトな空間です。だからこそ、あえて没入感を体験として演出したいと思いました。ワーケーションに対応するカウンターデスクやクロークを装備した室内で、朝から夕方にかけて変化する陽光に照らされた穏やかな内海を眺めながら過ごしてもらう。それには光を吸収し、自然なグラデーションを生み出してくれるUltrasuede®はぴったりの素材でした。視覚以外にも手触りの良さや高い吸音性など五感に作用してくれる素材であり、加えてその上質さは空間のレベルをワンランク上げてもくれます。ベンチシートに関しては、豊富なカラーリングも選択した理由になりました」
最後に米山さんは、「Ultrasuede® for Wallcovering」の印象について、こう語る。「光を一度吸収し、穏やかに反射する。だから目に入った光は優しく、柔らかな印象を空間にもたらしてくれる。その土地ならではの陽の光や景色をより魅力的に見せるための立役者という印象があります。そして、触れた時のドキッとするようなしっとりとした手触り。この素材に気づかなくても、景色や光、心地良さは記憶に残る。そういう体験価値を空間の利用者にもたらす素材なんだと思います」


米山宏介さん (STUDIO DIG.)
米山宏介さん (STUDIO DIG.)


問い合わせ
東レ㈱ ウルトラスエード事業部
東京本社 TEL 03-3245-5401
大阪本社 TEL 06-7688-3373
https://www.ultrasuede.jp


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