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イタリアとのワークショップにより誕生した大型陶板
TOTO「ハイドロソリッド」

2016.10.11 | INTERVIEW

これまでにないサイズ感とオリジナリティーあふれる表情を実現したTOTOの大型陶板「ハイドロソリッド」。
日本とイタリアでのワークショップを経てイタリアメーカーと共同開発された同製品について、そのデザインに携わった迎義孝さん(TOTOデザイン本部デザイン第一部)に話を聞いた。

タイル建材のトレンドの一つに、大判化がある。ヨーロッパを中心に普及し始めている大型陶板は、スケールを生かしたダイナミックな表現や、目地の少ない洗練された意匠を実現できることが特徴。TOTOがリリースした大型陶板「ハイドロソリッド」は1m×3m、厚さ5.6㎜という大きなサイズであることに加え、その独特の表情が注目を集めている。



最初に発売された「KOTAN(コタン)」「KANKA(カンカ)」の開発にあたっては、伊・ラミナム社と協働。表面パターンや柄、色彩などの検討は、両社のデザイナーが集うワークショップ形式で進められた。



日本側からデザイナーとして参加したTOTOの迎義孝さんは、「“日本らしさ”を一緒に追求しました。例えばホテルや商業施設など街のランドマークに私たちの製品が導入されれば、国内外の方々に日本の伝統や美意識を伝えるメディアになる。そんな状況をイメージしていました」と語る。



迎さんたちは京都の古寺や伝統工芸の現場などを訪れる中で、伊チームと日本的な美しさについて意見交換を繰り返した。その中で両者の見解が合致したのは「細かい手作業を繰り返す技法とそこから生み出される表情、また素材の経年変化が生む美しさ」だったという。「KOTAN」「KANKA」には、デザインワークショップの成果が凝縮されている。



「KOTAN」は、水墨画のにじみ、ぼかしの技法をベースに、左官のクシ引き仕上げを凹凸で表現したもの。離れて見るとコンクリートのような印象だが、近づくと木目のような線が現れる。



経年変化した鋳物のような色味をした「KANKA」は、鉄器を製造する際に叩いて生じる“あられ文様”が、ランダムな角度の付いたテクスチャーで再現されている。



「どちらもベーシックなトーンでありながら、凹凸や色柄を掛け合わせることで、“ありそうでなかった”素材感としています」と説明する。また、「ハイドロソリッド」の素地の色は表面に合わせて着色されているため、材同士のすき間を開けて小口を見せるオープン目地の施工や、カウンターなどの什器製作にも適している。



(左)にじみ、ぼかしの技法を表現した「KOTAN グレー」。表面にはくし引き模様。(右)細かな正方形パターンのあられ模様に、経年変化したような深い色が馴染む「KANKAブラック」
(左)にじみ、ぼかしの技法を表現した「KOTAN グレー」。表面にはくし引き模様。
(右)細かな正方形パターンのあられ模様に、経年変化したような深い色が馴染む「KANKAブラック」


「いくつかの導入事例を見ましたが、ダイナミックな雰囲気づくりに役立っているという実感があります。また、細かなテクスチャーは光を受けて表情を変えるので、照明との組み合わせも楽しんでほしい」と語る。



「KANKAブラック」の導入例。上質なホテルやラウンジなど高い意匠性が求められる空間にフィットする
「KANKAブラック」の導入例。上質なホテルやラウンジなど高い意匠性が求められる空間にフィットする


9月には国内工場での生産を開始し、単色で焼き物の味わいを引き出した「MUKU(ムク)」「SUZU(スズ)」も発売。品があり静的な印象を与えてくれる素材だ。もちろん、TOTOならではの光触媒技術「ハイドロテクト」は全製品に施されているため、抗菌性や防汚性があり広い用途で使いやすく、国産というアドバンテージもある。



多彩なアプローチで日本らしさを体現した「ハイドロソリッド」は、繊細な美意識をインテリアに表現できる大型陶板だ。

TOTO株式会社

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