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高度な技術とサイン製作のノウハウが 新しい空間づくりの可能性を広げる/発研セイコー ショールーム
2023.05.26 | SHOWROOM
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GUEST
平綿久晃氏(MOMENT) ※写真上
渡部智宏氏(MOMENT) ※写真下
http://www.moment-design.com
〈近作〉
BAO BAO ISSEY MIYAKE 成都、LOKO GALLERY CAFE代官山 など
先進的な技術とLEDを活用したサインやチャンネル文字、導光板、切り文字など、さまざまな空間に向けた製品の開発・製作を行う、発研セイコー。1985年の創業以来、東京・足立区の自社工場を拠点に、大手設計施工会社やデザイン事務所と協働し、多くの商業施設の空間づくりに寄与してきた。今回、同社の製品が製作されている本社工場ショールームを、デザインオフィスMOMENTの平綿久晃氏、渡部智宏氏が訪問。店舗のインテリアやグラフィックを始めとするトータルでのデザインに携わってきた視点から、高度な技術を用いたサインの、空間デザインにおける可能性について語ってもらった。
発研セイコーの工場には、製品製作のための自社で開発したオリジナルの工作機械がいくつも導入されている。特に店舗におけるサインやロゴは、プロジェクトの終盤に製作を依頼されるケースが多く、短納期のスケジュールになりがちだが、これらの機械と、受注から製作、納品までのシステムづくり、そして長年に渡って自社工場で培ってきたノウハウによって、スピード感のある製作を可能にしている。
平綿氏はその製作の速さに感心しながら「私たちが店舗をデザインする時は、サインやロゴも空間の一部として、初期段階からディテールをつめていくことが多い。さまざまなサイン製作の経験を持ったメーカーと一緒に、最初からアイデアを練っていけたら、より質の高い空間づくりが可能になると思う」とも語る。同社の企画開発室室長・久永智義氏は「繊細なLEDの光の表現や、レーザーやウォータージェットによるカット、3Dプリンターなど、数多くの手法での製作が可能ですが、それを活用する依頼がなければ製品は生まれません。一方で、いつどのような依頼がきても良いように、職人たちは最先端の機械を使って表現の実験も繰り返しています」と、デザイナーの思い描くさまざまなアイデアを実現できる体制づくりに自信をのぞかせる。このほか、社内にはデジタルデータを製作・管理する熟練のチームもあり、デザイナーから受け取ったCADデータを、アイデアを損なうことなく実現可能な形に落とし込むテクニックも磨かれている。
同社工場を巡り、サインでさまざまな表現が可能であることを知った渡部氏は「昔は、看板は店舗から独立したものが多かったけれど、素材や技術の進化とともに、空間の一部として扱われるようになった。しかし、そのサインが空間にマッチしているか、その場に必要なデザインや仕上げになっているかということには無頓着な事例も少なくない。日本的な感性で言えば、照度や色、仕上げのつながりなど、ディテールへのこだわりの積み重ねが空間の体験価値を生むし、そこをいかに追求できるかがデザイナーの職能だと思う」と話す。また平綿氏は「サインは機能的なものである同時に、空間に落とし込む段階で一つの“素材”になる。これだけ仕上げやデザインにこだわれるサインがあれば、一つのサインから空間が立ち上がっていくようなアイデアも生まれるかもしれない」と、発研セイコーの持つ技術や表現力が、デザイナーと化学反応を起こし、新しい空間づくりにつながっていく可能性に期待を寄せた。
発研セイコー ショールーム
- 東京都足立区入谷5-15-5
- 営業時間 9:00 ~ 18:00(予約制)
- 定休日 土曜、日曜、祝日
- TEL. 03-3890-1733
- URL. https://www.hakkenseiko.jp/