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【PR】ジョイントセンター 原兆英さんに聞く 空間デザインに豊かな広がりと独創性を生むブラインド/ニチベイ
2023.02.07 | REPORT
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ライフスタイルや働き方が変化するなかで、公共・商業空間における人々の空間に対する意識も変わってきた。特に、クリニックを始めとする医療関連の施設では、パーソナルスペースに考慮した空間づくりが求められる一方で、コミュニケーションを生み出す場、特別な体験をもたらすデザインへのニーズが高まっている。数多くのクリニックや商業店舗、住宅など幅広い空間デザインを手掛けてきたジョイントセンターの原兆英さんに、空間の付加価値を生む空間とブラインドの取り入れ方について話を聞いた。
空間に多様な変化を生むブラインド
私が手がけたインテリアデザインのなかで、初めてニチベイのブラインドを取り入れた店舗が、約50年前に設計したレストラン「キャロット」です。この店舗は、ガレージとしてつくられた平屋の箱型の建物をレストランに改装したものでした。駐車場なので窓はなく、内部にいる時は、三方壁に囲まれた状態になります。その圧迫感を和らげる要素として、本来は窓辺に設置するブラインドを使えないかと考えたのです。ブラインドの主な目的は、遮光や目隠しであるため、ブランドが掛かっているのを見ると、多くの人が「その先に何かある」ような気持ちになるのです。ただの平面ではなく、壁にスリットが生まれることで、圧迫感をなくしながら、さらに、無いはずの奥行きを感じさせ、空間の広がりをつくり出したいと考えました。また、ブラインドの特徴であるスラット(はね)に、表と裏で異なる色を塗装し、空間全体のカラーを瞬時に変えられる仕組みにもチャレンジしました。
当時、表裏で色が異なる商品はなく、いくつかのメーカーに特注品を相談して断られていたのですが、ニチベイの担当の方だけは「なんとか工場に掛け合ってみます」と言って協力してくれたのを覚えています。実際に、オフホワイトとオレンジの2色に塗り分けたブラインドを製作してもらえて、求めていた空間が実現した時は嬉しかったですね。そのブラインドは「ツートン」という名前で商品化されました。インテリアデザイナーの仕事は、施工会社やメーカーの協力なくしては成り立ちません。そして設計者の思いを具現化するには、その時のニチベイさんのように、新しいチャレンジに前向きに取り組んでくれるパートナーの存在が不可欠だと思います。
デザインを柔らかく受け止める存在
「キャロット」のケースのように、ブラインドを、目隠しや遮光のための単なる設備として扱うのではなく、新しいデザインの要素として捉え、空間に取り入れるのはデザイナーの職能です。設備や建材ありきで空間をデザインすることはありません。そういった視点で、ブラインドを始めとする建材は、デザイナーが求める多目的な空間づくりを受け止める余白や柔軟性があると嬉しいですね。
私は、クリニックや商業空間などをデザインする時、その空間で過ごす人に、特別なひとときや、そこでしか出会えない体験をしてもらいたいという思いを持っています。クリニックであれば、治療に対して不安を持っていたり、医療施設という場所に対する緊張感を和らげてリラックスさせてあげることが特に重要です。そういった場所では、空間を緩やかに間仕切ってくれるものや、光を柔らかく受け止めるようなブラインドが重宝します。
例えば、ニチベイのハニカムスクリーン「レフィーナ」は、不織布の素材とハニカム構造によって柔らかい印象を生み出してくれます。程よい透け感のある生地がラインアップされており、外光を取り入れながら、外からの視線を遮ることができ、特に道路沿いのクリニックで効果的です。また、最近は大きな窓のあるテナントが多いですが、屋外の景色が必ずしもキレイでないケースもあり、その場合も目隠しとして役立ちます。その他、樹木の影や木漏れ日が生地に当たると、墨絵のような表情も生まれ、その場所のオリジナルのシーンを生み出す要素にもなり得ます。クリニックでは、基本的には清潔感を感じる白色を採用しますが、多様なカラーバリエーションもあるので、インテリアに合わせて選べるのも良いですね。調光や目隠しとしての機能に加え、特別な意匠を施さずとも、空間を演出するための要素として使える可能性を感じます。
用途にマッチする素材と色選び
世の中の情勢が変わり、医療施設に対して人々が求める清潔感や安心感の意識は年々高まっています。そのなかで、柔和な印象だけでなく、ツヤ感のある硬質なイメージが好まれる場面もあります。クリニックでは、待合ラウンジや施術室などで、使う素材を使い分けるべきで、空間の用途に合わせてブラインドの種類や素材、色を選ぶことがポイントになります。また、繰り返しになりますが特に色は大事で、それも単純な色相の違いよりも、ベーシックな白色やモノトーンのなかでバリエーションがあると良いなと思います。同じ白色でも、ちょっとした違いで、空間の印象は変わります。ニチベイの商品は色のバリエーションにもさまざまにチャレンジしているようなので、さらに増えていくのを期待しています。
他方で、近年は建材の環境性能などに関して、施主側の意識が高まっているのを実感しています。そういった面で、基準をクリアした素材開発に取り組んでいるメーカー商品の安心感があり、意匠性に集中して選べるのは設計の現場で助かりますね。
クリニックだけでなく、さまざまな商業施設において、業態が多様化し、空間の用途が多目的化していくなかで、インテリアにおける光や色、視線の抜けといった要素を容易に切り替えることができるブラインドを上手く取り入れて、これからもっと色々な情景を生み出していこうと考えています。
【プロフィール】
原 兆英(はら ちょうえい)
デザイナー。ジョイントセンター株式会社 代表取締役。1942年生まれ。大学日本デザインスクール卒業。オフィスや住宅、医療施設、商業施設等のインテリアデザイン、建築の企画、設計、監理の他、ブランディングなどトータルなデザインを手掛ける。