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これからの働き方にフィットし、 企業の価値を醸成する新しいオフィスデザイン/コスモスモア
2022.10.28 | REPORT
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オフィスや住まいを中心に、全国でさまざまな建築プロジェクトの設計施工を手掛けるコスモスモア。同社では、2019年の自社オフィスの移転に伴い、これからの働き方へ向けた機能的かつ新しいワークスペースの計画に取り組んだ。東京・恵比寿のオフィスビルの3つのフロアを活用し、「SWITCH!」をコンセプトに、フロアやゾーンごとでワーカーが自由に用途や気分を切り替えながら働ける空間が展開している。オフィスのレセプションでもある1階は「ひろがるスペース」。社内外の人々が交流し、新しいつながりやビジネスを広げていくことを目的に、多用途に使えるキッチン併設の大きなカフェカウンターやベンチ席、ミーティングルーム、セミナーも行えるラウンジが設けられた。特にカウンター周りは、仕事をしている社員に声をかけやすいオープンなレイアウトが特徴。働く場所を自由に選べるABWの導入と共に、偶発的なコミュニケーションが生まれる空間づくりは、コロナ禍におけるリアルなオフィスの存在価値を高めるポイントと言える。
さらに2階は「にぎやかフロア」をテーマに、ピンナップウォールやファミレスのようなブース席など、社員同士がアイデアを出し合いながら打ち合わせできる場が展開。他のゾーンと程よく仕切られており、執務機能を果たしながら、チームとしての一体感や会社への帰属意識を高めるエリアが緩やかにつながっている。
一方、3階「ひらめきゾーン」は、集中して仕事をする時や、新しいアイデアを模索するための空間。一人で落ち着いて作業ができる集中ブースや、建築やデザイン関連のサンプルルームのほか、気分をリフレッシュできる屋外テラスが設けられている。1階から3階にかけて開放的なつくりから段階的に、個人的な空間づくりへと移行していくことで、「この席で仕事しているから声かけても良さそう」「今は集中しているから後で話しかけよう」といった社員同士の意識も生まれているという。
同オフィスはコロナ禍以前に計画されたが、現在に至るまで上手く活用され、同社が目指す新しい働き方を体現した場所になっている。それは、ソーシャルディスタンスやリモート対応を始めとする機能面だけで空間を考えるのではなく、オフィスが「その企業にとってどのような役割を果たす場所か」に着目しているからこそ形になっていると言えるだろう。建築会社であるコスモスモアでは、これまで多くのオフィス設計を手掛けてきた知見に加え、同社のオフィスで実験的に得てきたアイデアを生かした、より発展的なプロジェクト提案が生まれている。新しいワークスタイルにフィットしながら、真に企業の価値を生み出すオフィスづくりに向けた、コスモスモアのプロジェクトに引き続き注目したい。
「コスモスモア」DATA
床面積 990㎡
施設利用従業員数●150人(平均出社率30%)
工期●2019年2月~ 2019年5月
竣工●2019年6月
コスモスモア
- TEL. 03-6892-2370
- URL. https://www.cosmosmore.co.jp/