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“招き猫”が迎えるショッピングモールにおもてなしのトイレ空間が誕生
2016.05.20 | REPORT
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2015年12月4日、愛知県常滑市に“海と空を120%楽しむエンターテインメントパーク”をコンセプトとした「イオンモール常滑」がグランドオープンした。招き猫の生産地であることから、招き猫を随所に配したレストラン街と屋外エリアについて、そして、高い次元での“快適性”を実現したトイレ空間の魅力を紹介する。
レストラン街の真ん中に鎮座する巨大招き猫
イオンモール㈱が運営する施設としては東海三県では最大となる約20万2000㎡の広大な敷地には、核店舗となる「イオンスタイル常滑」の他、物販、飲食、サービスなど約180の専門店と屋外体験型エンターテインメントパーク「ワンダーフォレスト きゅりお」が出店。名古屋市内から鉄道で最速30分弱で到着するりんくう常滑駅から徒歩1分、中部国際空港セントレアとの間には無料シャトルバスも運行され、県内の人々はもちろん、外国人を含めた空港利用客の集客も見込んでいる。
「イオンモール常滑」では、常滑市を含む知多半島の自然、歴史、文化など、この地が持つ魅力を積極的に発信するPR機能も担っていくという。それを具現化した空間が、15店舗からなるレストラン街「常滑のれん街」である。日本情緒溢れるエントランスから中へと足を踏み入れると、そこには昔ながらの宿場町が再現されている。そして、何よりも来場者の目を引くのが、中央に鎮座する高さ約7mの巨大な招き猫である。レストラン街の環境デザインを手掛けた橋本夕紀夫氏は、この招き猫こそがコンセプトワークにおける大きな鍵になったと語る。
「常滑は全国的にも有名な常滑焼の街であり、招き猫の生産地でもあります。ターゲットはあらゆる人たち。地元だけでなく、インバウンドの方々など、年齢、性別、国籍もさまざまな人たちに楽しんでもらえるようにするため、分かりやすい日本を表現する必要がありました。招き猫は非常に分かりやすいアイコンになり得ると考え、まず最初に巨大な招き猫を中央に据えることが決まりました。宿場町をテーマにインテリアをつくり込み、エントランス脇の祠には金の招き猫を、更に屋外にも大小約50体の招き猫を配置。
これらは、地域の窯元や作家などによるオリジナルの招き猫であり、そのうちの14体は愛知県立芸術大学の学生の作品で、常滑市内にあるINAXライブミュージアム内の「LIXILものづくり工房」で絵付けし焼成されたものです。また、僕自身も2階のフードコートへの地上エントランスに踊る猫のキャラクターデザインを手掛け、2体置かせてもらっています(笑)」
共用通路は、軒先に下がる行灯と白いのれんで統一され、床材にはダイナワンの2種類の磁器質タイルを採用。趣のある石畳のような色合いは街道の雰囲気を演出し、その両端には木目調のタイルが敷かれている。この部分は各テナントが自由に使えるスペースとなっており、通路に向かってレストランのサインボードやメニューが迫り出すことでにぎわい感を生み出している。また、レストラン街へ通じる壁面には瓶が埋め込まれ、常滑が焼き物の街であることを感じられるようになっている。
「設計に入る前に常滑の街を視察しました。土管と瓶に囲まれた土管坂など昔ながらの風景が残っており、こんな良いところがあるんだなと思いました。『常滑のれん街』は、そんな常滑の街の新しい名所としてデザインしました。ここに来て、それからまた常滑の街にも足を運んでもらえればと思っています」(橋本氏)
愛知県立芸術大学准教授・夏目知道氏に聞く 学生参加の招き猫づくり
常滑に新規オープンするイオンモールが地域の人々とのコミュニケーションを図る仕掛けをしたいということで、昨年の夏、イオンモール㈱の方からお声掛けいただいたのがきっかけです。“日本”らしさをテーマに学内で「招き猫デザインコンペティション」を開き、広く募集をかけました。二つのカテゴリーを設け、一つは「LIXILものづくり工房」で用意された高さ約40㎝の素焼きの招き猫への絵付け案。もう一つはまったくのオリジナル招き猫の創作案を募集しました。
計42案が集まり、今年3月の審査の結果、絵付けのカテゴリーでは、歌舞伎ねこ、忍び猫といった和を連想させるものから、ネコ型ロボット、デコニャンといった日本のポップカルチャーを反映させたものなど10体、創作カテゴリーでは、富士山の上に座ってポーズを取った猫など3体に決定しました。絵付け作業は、「LIXILものづくり工房」に学生が通って行いました。私も1体特別につくらせてもらい、散歩道には作者名やコンセプトを明記して14体の招き猫を設置していただきました。学生の作品が常設展示されることは稀であり、今回の企画は大変貴重な機会となりました。 (談)
LIXILのマテリアルと技術を 結集した快適トイレ空間
愛知県常滑市は、住まいと暮らしの総合生活企業として業界をリードするLIXILの衛生陶器ブランド、INAX発祥の地であり、明治20年、陶管の製造を開始した陶工、伊奈初之烝氏が大正10年に創業した伊奈製陶所がその前身となる。イオンモールでは、常滑の街に新たなショッピングモールを出店するにあたり、施設全体の環境デザインを手掛けたディ・ブレイン研究所監修のもと、この地に所縁のあるLIXILにトイレのプロデュースを依頼。この新しいショッピングモールには、LIXILのテクノロジーを結集したトイレが計画された。
同社がプロデュースしたトイレは、1階に男性用と女性用、2階には男性用と女性用の他、多目的トイレ、授乳室を併設したキッズ用があり、それぞれにコンセプトが異なる。設計を手掛けたヴォイドの丹羽浩之氏はこう説明する。
「2階のコンセプトは“世界に発信する最高のおもてなしトイレ”です。やきものであるタイルをふんだんに使い、その色や素材感、形などで常滑の風土から導き出したキーワードである「Ground」、「Sea」、「Sky」を表現しています。女性用トイレには、壁一面にLIXILが復原したジオ・ポンティによるデザインのタイルを用い、ブルーの丸みを帯びた柄で青い海を。洗面コーナーでは光沢のあるタイルやガラスタイルなどを織り交ぜて水の輝きを表現しています。色調は、白や淡いベージュなど明るい色合いがベース。
プランニングも波紋をイメージさせる楕円や曲線を多用して柔らかな印象とし、楕円の折り上げ天井には空のグラフィックを施しています。また、ゆったりと身だしなみを整えられるように、洗面コーナーとパウダーコーナーを分けて設けました。男性用は、スクエアなプランニングで、黒やダークブラウンをベースカラーとしています。直線的な柄のジオ・ポンティのタイルの他、土を連想させる茶系や黒、釉薬の窯変したような色合いのタイルを組み合わせました。また、匂いや有害物質を低減し空気を美しく整える調湿建材「エコカラット」も壁の一部に使っています。1階は、2階とは対照的に近未来やハイテクがテーマです。
LIXIL お客さま相談センター
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