情報発信の場となるホテル
ホテルの役割が変わってきている。宿泊と同時に、仕事や打ち合わせをする。泊まっていない人も待ち合わせをして、会話を楽しむ。そして、会議やパーティーが毎日行われ、地域のコミュニティーの場所にもなる。すなわち、楽しくて魅力的な人が集まる場所になっている。「THE KNOT TOKYO Shinjuku(ザ ノット東京新宿)」は、アートやパブリックスペース、情報を発信していく場所になればと思い、プロデュースした。〈流石創造集団〉
境界なく人が行き来する
公園のようなホテル敷地は東京・西新宿の新宿中央公園に面した築40年程のホテル。計画以前から稼働率は高く、海外からの観光客も多く訪れるものの、宿泊目的のみが多かった。そのため、都市とのつながりが築かれておらず、敷地の持つ本来の魅力を引き出せていないと感じた。そこで流石創造集団ディレクションのもと、我々デザイナーがアサインされ、改修計画がスタートした。
まずは使用されていない屋上部分や外部空間を積極的に緑化。屋外テラスとして利用することで内外の連続性をつくった。更に、ロビーやエントランスエリアを誰でも利用できるコモンスペースとして開放することで、ホテルとレストランが街や公園に少しずつ混ざり合うことを考えた。また、排煙計画や防火区画を見直すことで、エントランスの吹き抜け部分に面した壁を全て取り払い、1、2階のレストランやバー、ベーカリー、ティースタンド、アートギャラリー、ホテルレセプションが連続した空間となるように計画。その結果、コモンスペースにはパンや紅茶の香りが漂い、音楽や人々の会話が広がっていく。宿泊者との境界なく人が行き来きする公園のようなにぎわいと自由を獲得した場所が生まれた。
ホテルのにぎわいが街に溢れ出し、都市全体を活性化するためのファーストステップとなることを期待している。〈山路哲生〉
「ザ ノット東京新宿 モアザン」data
工事種別:内外装 全面改装
床面積:1494.67㎡/1階851.67㎡(うち厨房154.51㎡)2階643㎡(うち厨房53㎡)
工期:2018年5月20日〜7月20日
施工協力:特注家具/WRIGHT、SELF-TITLED
営業内容
開店:2018年8月8日
営業時間:ベーカリー/午前7時〜午後7時 1階レストラン/午前7時〜午後11時 2階レストラン/午前11時〜午後3時 午後5時〜午後11時
電話:ベーカリー/(03)6276-7635 1階レストラン/(03)6300-0174 2階レストラン/(03)6276-7654
経営、運営者:㈱MOTHERS
所有者:いちご㈱
従業員:80人
客席数:1階/141席 2階/70席
客単価:ベーカリー/900円 1階/2500円(カフェ利用含む) 2階/ランチ1100〜2800円 ディナー6000円
主なメニューと価格帯:1階/モーニング1980 ランチビュッフェ1860(土・日曜日、祝日は2500) 2階/平日パスタランチ1100〜 ランチコース1860(土・日曜日、祝日は2500) ディナーコース3500〜
主な仕上げ材料
外壁:既存タイル スチールサッシ アルミサッシ(PRO-SE/LIXIL)
軒裏:不燃ボード(ダイライト/大建工業)下地チーク材突き板貼り(ウッディワールド)
サイン:金物切り文字 塗料書き文字
床:合板下地オーク材フローリング貼り(ニッシンイクス)2階レストラン/オーク材フローリング貼り(ラスティックブラックオーク/ニッシンイクス) オーク材フローリングヘリンボーン特色貼り(アンドオンリー) エントランス/既存コンクリート下地モルタル仕上げ
壁:エントランス/PB下地左官調塗装(INTERNO LIME WASH/ポーターズペイント) 1階レストラン/既存コンクリートの上AEP 2階レストラン/左官塗装(ジョリパット/アイカ工業) 不燃オーク材突き板貼り(リアルパネル/ニッシンイクス)
天井:PB下地AEP 1階レストラン/既存コンクリートの上AEP
照明器具:吹き抜け/ペンダントライト(既存再利用)
HOTEL DATA
経営、運営者:池田創業㈱
所有者:いちご㈱
客室数:408室
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