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オリジナルソファに見せる“張り屋”としての矜持/中村工芸
2021.04.19 | INFORMATION
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“The Pride of Sofa Upholstery Craftsmen.” 中村工芸の2021年発刊の新カタログの表紙にうたわれている。“upholstery(アップホルスタリー)”とは、椅子やソファを張り替えることだ。同社は創業70年を迎えた大阪・東大阪市のメーカー。国内の家具産業は、時代とともにさまざまなニーズの変遷を経ている。
同社は“張り屋”を軸としながら、企画・製造・販売を一貫して行うメーカーとして、顧客の多様な要望に応えてきた。工場とショールームがオフィスに併設されているため、スピード感ある対応もアドバンテージとした。近年はモデルルームの家具を始め、ホテルなどレジデンシャル仕様の製品が人気だ。もちろん店舗のための、オリジナルデザインの特注ソファも製造する。
新カタログでトップを飾るのは2021年1月に発売された「N301」(写真1)。奥行きをゆったり取り、背を低めにしたL字形ソファだ。モダンかつシンプルなフォルムで多様な使い方を許容する。空間に応じたサイズ(ワイド)のカスタマイズも対応している。オフィスのレセプションやホテルロビーなどでの使用がイメージしやすい。
クラシックなウィングバックチェアを現代的にアレンジしたのが「N113 / N114」(写真2)だ。背がフラットなタイプがN113、絞り加工を加えたものがN114となる。国内のメーカーでウィングバックチェアをカタログアイテムとしているのは希少で、同社でも12年以上になるロングセラーだが、職人への技術の継承という意味でも製作を続けているという。
「N734 / N735」(写真3)はいわゆるラウンジチェア。発泡成形による、有機的で複雑な面を持つフォルムに大きな特徴がある。ホテルライクなイメージで、空間のパブリック、プライベートを問わない佇まいになっている。
人の嗜好や空間の雰囲気などに合わせ、90種類以上から選べる多種多様な張り地は、自動化が進んだ今でも職人の手作業により仕上げられる。人が触れ、身を預けるソファにこそ、矜持を持って届けたい。クラシックからモダンまで手掛ける同社のものづくりへの思いがそこにある。
中村工芸
- TEL. 072-962-8338
- URL. https://www.nakamurakogei.co.jp/