-
ガラスにオリジナルの意匠をまとわせる/新江州
2021.02.25 | INFORMATION
-
滋賀県に本社を置き、創業70年を超える新江州。樹脂や紙などの包装資材や産業資材を中心に開発・製造を進めるメーカーである。
社内リソースをより生かす新規事業として、UVグラフィックス事業部を立ち上げた。内装向けのガラスフィルムや塩ビシートをデザインとともに提供するもので、「LUMIERED(ルミエルド)」のブランドで展開している。中でもオーダーメイドの「ルミエルド Cmiシリーズ」(Cmiとは“Custom made item”の略)は、その名の通り、飛散防止機能を持つガラスフィルムにオリジナルで多彩なグラフィックデザインが施せるというものだ。
インクジェットプリントを用いて、ファッションのような気軽さで意匠をまとわせる、というのがコンセプトだ。内装材にデザインを施す際の、諸々のハードルの高さを軽減したいという意図が込められている。
一方で、プリントの精度・品質には強いこだわりを持ち、グラデーションの滑らかさや色の透かし加減など、プリント然と見せない技術も突き詰めた。
何より「ルミエルド Cmiシリーズ」を特徴付けているのは、社内デザイナーの存在だ。実際にフィルムへグラフィックデザインの採用を考えると、グラフィックデザイナーを探し、プリント業者を見つけ、その指示・調整を行った上で現場でイメージ通りできているかを確認しなくてはいけない。ガラスへの施工を想定すると、グラフィックの作成そのものを始め、そのデータ管理、あるいは施工しやすさを考慮した割付やディテールなど、相応の経験と知見が求められる。
同社では専属のデザインチームを置き、デザイン提案から出力までの一切を請け負える体制とした。デザイナーが直接打ち合わせにも応じるため、空間の設計者側はイメージラフやスケッチレベルで指示を出せば、ワンストップで進められる。最終的な仕様書(製作図)の確認をするまで任せられるのが大きい。
現在、平均すると年間約900件の受注実績があり、近年はオフィスでの採用が7〜8割を占めるという。いわゆる目隠しの用途と、グラフィックデザインで企業イメージやメッセージを重ねたものが多い。抽象的な幾何学パターンも人気だ。
また同社では、内装用の塩ビシートや壁紙へのプリントも可能。ガラス面と壁面を連続させ、一体にデザインを施すことで、オリジナルのグラフィックを空間全体にコーディネートできる。
ガラスフィルムのサイズは、W1200㎜でおおよそ5mまで対応。参考上代価格は、資材のみで18,000円/㎡〜。デザインが15万円〜となっている。色味はCMYKと白インクで表現できる範囲でほぼ自由自在だ。同社では、素材感のわかるカットサンプルやカラーチャートも問い合わせに応じて送付している。
ガラスフィルムによる意匠の展開は、軽微な改装や空間のイメージチェンジに高いニーズがある。インクジェットプリントと言うと簡易なものと思いがちだが、逆にディテールや細やかな配慮が最終的な仕上がりに大きく響く。空間において、より精度高く、イメージ通りにつくるにはやはり人間の調整が必須で、同社の体制はその部分で大きく貢献しているのは間違いない。
新江州
- TEL. 03-5651-7801
- URL. http://www.shingoshu.co.jp/business/uvgraphics/