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「Lighting Showroom Tour for profeesional」 ツアーレポートVol.2
2020.01.08 | REPORT
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「SHOWROOM GUIDE for professional」の巻頭企画として、2020年は照明に特化したショールームツアーのレポートをお届けします。インテリアデザインに必須である照明計画はもちろん、プロジェクションや光のオブジェとしてなど、空間にさまざまな陰影を与えることは設計上、とても重要です。今回は、各々異なる特長を持った3社にご協力いただきました。数多くのショップやレストランのデザインで活躍されるデザイナー、ドイルコレクションの井上愛之さんと、インテリア・建築を問わず照明プランニングを手掛けるライトモーメントの田中圭吾さんに帯同いただき、抽選による7名の読者も参加してもらいました。
「スタジオノイ」 港区南青山
インスピレーションを喚起する プロダクトたち
エレベーターを降りると、正面でINGO MAURER(インゴマウラー)の代表作、「Birds Birds Birds」が迎え入れるこのショールームは、2019年1月にオープンしました。
スタジオノイは、インゴ・マウラー本人から直々に日本での取り扱いを望まれ、以後30年以上、INGOMAURERを筆頭に海外の照明ブランドを取り扱ってきています。単にデザインの優れた照明器具ということにとどまらず、ブランドの目指すものやデザイナーの意志が強く感じられる、人の心に明かりを灯すようなプロダクトばかりです。ショールームは全体に黒で統一されており、シークエンスに沿って、それぞれのプロダクトが展示されています。ブランドのストーリーや背景が感じられる、ミュージアムのような雰囲気もあります。
スタジオノイでは現在、四つのブランドをそれぞれの総代理店として日本で展開しています。同社を象徴する中心的な存在がINGO MAURER。創業者であり、デザイナーだったインゴ・マウラーはアメリカでグラフィックデザイナーとして働いた後、ドイツに帰り1963年、照明器具の会社をつくります。最初の作品である「Bulb」(1966年)がニューヨーク近代美術館(MoMa)のパーマネントコレクションとなるなど、先進性と同時に遊び心も感じさせるデザインは、50年以上にわたって世界からリスペクトされ、特別なプレゼンスのある照明ブランドです。
田中さんは、なかでも「My New Flame」(2012年)という、ろうそくのような細長い基盤の先に小さなLEDが炎の揺らめきを映し出す作品がお気に入りとのこと。「(これに限らず)光の持つ感覚的な部分を非常に上手くかたちにしています。一般の人でも光に愛着を持てるようなデザインとして考えられていますよね」。
イタリアの老舗「OLUCE(オルーチェ)」には、ヴィコ・マジストレッティを始め、さまざまなデザイナーによる名作と呼ばれる照明器具がたくさんあります。一方で新進気鋭のデザイナーも積極的に起用し、温故知新の精神で新しいクラシックとも言える製品を生み出しています。
「BOCCI(ボッチ)」は2005年にカナダ・バンクーバーで設立された比較的新しいブランド。ガラスを用いたペンダント照明が多く、小さな灯体をたくさん用いて、全体でシャンデリアのように見せるスタイルは、照明デザインの一つのトレンドになりました。デザイナーが工房でデザインと製法を開発したガラスのプロダクトは、一つ一つが微妙に形が異なるため、まとめて設置したときにもその表情が生きます。そういう意味でも有機的なデザインです。
2019年から取り扱いを始めたチェコの「BOMMA(ボマ)」は、最新鋭のクリスタルガラス研削機械をも自社で製造し、手吹きガラスの技術力も他に類を見ないスケール感のあるブランドです。伝統的なボヘミアガラスの技術を生かした、スケール感のあるペンダント照明が目を引きます。
四つのブランドのなかで井上さんが特に興味を持ったのがボマ。「感覚的な新しさを感じますね。そこまで特徴的なフォルムではないのに、簡単には作れないというところが非常に現代的です」と井上さん。伝統的な手法ながら、ありそうでないというミニマルなデザインが現代の空気にマッチしているのかもしれません。
スタジオノイ
- 東京都港区南青山2-18-2 竹中ツインビルB wing 2階
- 営業時間 10:00〜18:00
- 定休日 土曜、日曜、祝日
- TEL. 03-5843-0260
- URL. https://www.studio-noi.com/