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TOLSO BeAm Freeが魅せる、
商業空間における自由自在な照明計画の可能性2019.11.18 | INFORMATION
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今年8月に発売された、パナソニック ライフソリューションズ社の「TOLSO BeAm Free(トルソー ビームフリー)」。同製品は、配光を自由かつ簡単に調整できる照明器具で、商業空間における多様な光の演出を可能にする。今回、物販店や飲食、ホテルなどさまざまな商業空間のデザインを手掛ける3人のデザイナーに、商業空間の業態ごとに異なる光の演出手法と、TOLSO BeAm Freeの可能性について語ってもらった。
業態によって異なる照明の考え方
江原 私が設計しているレディースのアパレルブランドの店舗では、他のブランドと差別化することが空間づくりの重要なポイントです。また、多店舗展開する場合は、スタッフが異動した時に新たな気持ちで職場に臨めることや、地域の特色を想定して、同じブランドであっても内装デザインに変化をつけることを意識します。特に、アパレルは利用者の年齢層によって“元気なイメージ”や“優しい大人のイメージ”といった空気感を演出するケースもあり、照明計画はそれらのデザインのための大切な要素です。
照明計画を考える際は、店舗の規模や商品数から必要なディスプレイ、棚の数などを決めて照明の数を割り出します。また、ブランドによってカーキやベージュといった柔らかい色合いの商品が多い場合もあるため、その素材の色をしっかりを見せられる色温度や演色性を考慮して器具を選定していきます。一般的な飲食店のように、全体的に照度を確保するような考え方はあまりせずに、商品一つひとつをピックアップする照明になる傾向がありますね。
鈴木 私は、アパレルの中でも靴やバッグといったファッショングッズの店舗や、コスメの物販を設計することが多いので、江原さんの言うように、商品をピックアップする照明によって、“キラキラ感”を出すことを心掛けています。商品を際立たせるメリハリのある照明に加えて、コスメではテスター周りの明るさが求められます。化粧品は店頭で商品を試してから購入を決めることがほとんどであるため、ミラーの周りの明るさはしっかりと確保します。
江原 顔につける化粧品でも、手に付けて色合いを確かめることが多いから、手元の明るさも大事ですね。
鈴木 そうですね。一方で、同じビューティー系でも、エステを始めとするサロン業態では照明計画の考え方が大きく変わります。エステの照明は、施術する側と、施術を受ける側それぞれの視点に立った機能が必要です。フェイシャルエステでは、顔の周りで施術しますが、お客さんは基本的に天井に仰向けになっているので、照明を眩しく感じないようにしつつ、施術者の手元が暗くなり過ぎないよう計画します。エステではリラックスできる明るさも大事なので、特にボディの施術の場合は、施術者の手元以外はかなり暗くするなど、施術内容に合わせて細かく調光できるようにします。天井にはダウンライトは極力用いずに、壁際の間接光で明るさを確保するケースが多いですね。
座間 ホテルやレジデンス、飲食空間のデザインでも、人の過ごしやすい照明を意識します。これらの空間は基本的にベース照明をつくるため、そこに光を一つの素材として取り込むことが多いです。例えば、ホテルのレセプションで壁面に照明の色の変化や金属などを組み合わせて、訪れた人の目を引きつけるようなシーンをつくることがあります。特にホテルやレジデンスでは、朝、昼、夕、深夜といった時間帯で異なるシーンを考えるので、その演出に照明は欠かせません。
また、ブライダルのバンケットでは、演出用の照明の他、各テーブルを照らすための照明が必要であり器具の数が多くなります。ただ、設計者の視点からすると、器具の量が増えると設計や施工段階で考慮すべき点が増えて、メンテナンスの手間もかかるため、器具の数をできるだけ少なくできないかといつも模索しています。
鈴木 少ない器具で、効率的な光の演出をしたいというのは空間のデザイナーがいつも考えていることだと思います。
1台で複数の光の演出が可能になるBeAm Free
江原 BeAm Freeに触れてみて最初に思ったのが、アパレル店舗のVP(ビジュアル・プレゼンテーション)を変化させやすいということ。アパレルでは、ブランドのテーマを伝えながら、季節やトレンドによってピックアップした商品を店内の各所に配置することがよくあります。それらは商品ごとに形やボリュームが当然変わるので、最初に設定する照明計画は汎用性のあるものになる。しかし配光や角度を自由に変えられれば、より展示される商品に合わせた照明演出が可能になるのではないでしょうか。店舗を設計する時には、従業員が自由に商品をディスプレイできる余白のようなスペースを設けるようにしているので、従業員が簡単に配光を調整できるのは良いですね。
鈴木 配光を変えても明るさの印象がほとんど変わらないのも大きい。アパレルだと設計段階では並ぶ商品が決まっていないこともあるため、商品が入った後に照明を調整できると、効果的な光の演出が可能になるはずです。また、大型店舗でショップインショップの一区画だけブランドが入れ替わるケースでも、器具を変えずに、新しいブランドのコンセプトに合わせた照明計画が可能になる。1台で光の質を変えて、演出のメリハリをつけられるのは特長ですね。
座間 光によって空間の印象は大きく変わるので、配光や角度の違いで、空間演出を色々と遊べるかもしれません。さまざまな利用シーンがある空間では、光を変えることでイベントをつくりやすくなる。前述のバンケットのような多目的な場所は、例えばテーブルの数や位置が利用者によって変わるため、そのテーブル配置の全てに対応する照明計画になり、全体的に明るくなってしまうことが多い。明るさのメリハリのあるシーンをいくつもつくるためには、器具を増やす必要があります。BeAm Freeであれば、複数のシーンに対応する照明計画をつくれて、同時に器具の数を少なくできる。省エネやコスト面で、クライアントにも提案しやすくなりますね。
江原 アパレルでも複数の照明器具の光を重ねるようにして、ディスプレイ面の全体を明るくする場合や、1点だけにスポットを当てたい場合など、変化をつけることがあり、少ない器具でそれらをカバーできるのは助かります。
鈴木 専用のフィルターで光を拡散させることや、スプレッドにもできるので、ショーウィンドウやギャラリーのような、展示物だけを浮かび上がらせるような、個性的な照明計画にも対応可能ですね。
座間 最近は、外資系のクライアントや訪日観光客を想定した空間など、海外の人が利用する場所をデザインすることが増えています。外国人と日本人では光の感じ方が違うケースがあり、空間が出来上がった後に、求められる光に調整できるのはメリットだと思います。デザイナーが求める自由な光の演出を可能にする製品ではないでしょうか。 〈了〉
WEBサイトでは、コクヨ株式会社佐藤航氏によるWEBセミナー「光と空間」を公開中。またBeAm Freeの無料貸し出しを受け付けています。
- 江原まゆみ
- CONSCIOUS代表。アパレルブランドのブランディングから店舗設計、カフェを始めとする飲食店のデザインまで幅広く手掛ける。
- 鈴木 梓
- キュー・デザイン代表。アパレルや飲食店の他、エステやホスピタリティー関連のサービス店舗のデザイン、海外案件なども手掛ける。
- 座間 望
- ZA DESIGN Inc.主宰。飲食店やホテルなど多業種の店舗の他、レジデンスを始めとするハイエンドな空間のデザインも手掛ける。
パナソニック株式会社
- 大阪府門真市門真1048
- TEL. 06-6908-1131(代表)