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国産パラソルメーカーとしての矜持
2019.09.30 | INFORMATION
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富士は、コントラクト向けのビーチパラソルやマーケットアンブレラのトップメーカーだ。輸入品の取り扱いも行うが、製造する自社製品については国産にこだわり、性能・品質では海外からも一目を置かれる存在といっていい。
同社は明治の初期に洋傘の製造・販売から発足し、1917年には、麹町区(現・千代田区)に大正デパートメントを開業するなど、事業を拡大した。戦時の混乱ののち、鎌倉に洋傘店を開業。1955年には富士洋傘店として、ビーチパラソルの生産を始めている。大磯や葉山といった保養地での贅沢品として、当時は需要が高かったという。1970年にガーデンファニチャーにも本格参入。社名を現在の富士とした。
パラソルを国内で製造しているのは、現在は同社のみだ。何より、耐候性と強度、安全性に配慮したものづくりを掲げ、パーツや素材などのサプライヤーを含めて、オール国産を目指している。100%の遮光率と99%以上のUVカット、さらに優れた遮熱性を持つ東レ開発の「サマーシールド」生地を、独自の縫製技術で製品化した。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでも注目される製品だ。
気候や使われ方など過酷な使用環境になりがちなパラソルは、その品質がユーザーの安全や製品としての成り立ちそのものに直結する。特に沖縄地区では、内地とは比較にならない強風と紫外線のため、過酷さは顕著ながらも、同社の製品は唯一無二の高い信頼を得ている。
先述したようにヨーロッパなどからの輸入品も取り扱うが、いずれも同社の厳しい目をくぐり抜けたものだけだ。販売する製品に対しては、自社・他社かかわらず、責任を果たす姿勢で、メンテナンスやアフターフォローも受け持つ。そのため、一部のアセンブルや張り地の張り替えなどの工程も含め、製品の機構や部品を知り尽くす。輸入元への改良提案やフィードバックも通常業務だ。それが世界の同業メーカーから信頼とリスペクトを得て、「FUJI」のブランドとして浸透している大きな要因だ。日本のものつくりという原点がベースにある。現在、雨傘の骨は国内で製造されていない。同社では純国産による雨傘再生を目指しているという。
富士
- TEL. (0467)44-3000
- URL. http://www.fuji-kamakura.co.jp/