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ケイ・オーベックスでは、ホテルを中心に商業施設などの壁紙、カーテン、ランプシェード、張り地などファブリック全体を取り扱う。設立は1992年で、一貫してホテルの仕事を手掛けてきた。

多くが特注対応で他社ができない複雑な仕事を任される。例えば、ホテルの壁紙では、刺繍や立体的な意匠などを施したものに対し、防火認定が必須となる。その上で客室であればボリュームロットも必要とされ、アフォーダブルなコスト性も要求される。設計者やデザイナーが描いたイメージやデザイン画を、いかに意図に沿って具現化するかも重要な課題だ。それに対し、アーティストのような仕事でもなく、既製品をカタログ販売するのでもない、ソリューションを同社は持っている。ニッチだからこそ、同社の持ち味、長年のノウハウや独自のネットワークが生きるジャンルでもある。もちろんシチュエーションによっては、小ロットの仕事も対応可能だ。

例えば、オリジナルのデザインパターンのある壁紙も、インクジェットプリントではなくハンドスクリーン印刷で処理し、その上からマニラ麻を薄くかぶせることで、独特の奥行きと佇まいを演出できる。そしてもちろん不燃対応する。物理的、コスト的な制限と、意匠の表現や実際の見え方など、実践的な見地に基づいた最適なデザインの再現とカスタムメイドが同社の強みである。ホテルという非日常空間では、そうしたテクスチャーの特別感が、インテリアの、ひいては施設自体の風格等にもつながる重要なものだ。

一方、店舗や商業施設でも採用の多い、代表的な製品には「Infiro（インフィーロ）」がある。防炎性能も持つストリングカーテンで、国内の工場で生産され、品質には大きな自信を持つ。すそはねや縮れ、ほつれなどもなくきれいに垂直を保ち続け、面的な見え方も整然としているのが特長だ。レールの配置で空間を多彩に仕切りだけでなく、紐状の素材ならではの光の透過と投影もできるので、デザインの組み合わせで多様な空間演出が可能となるものだ。