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「LIVING & DESIGN 2018 - 住まいと暮らしのリノベーション」レポート
2018.11.05 | REPORT
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2018年10月10日〜12日、大阪南港ATCホールにおいて、「LIVING & DESIGN 2018 – 住まいと暮らしのリノベーション」が開催された。
同展は、住宅や商業施設を始めとする空間づくりに関連する建材や素材、様々なアイデアが集まる展示会として行われ、今年で10回目を迎える。
住空間の国際見本市「LIVING & DESIGN 」
今年のテーマは「NEXT FRONTIER 新たな時代へ」。大きく変化する社会において、インテリアデザインや建築を取り巻く環境も急速に変わっている今、柔軟に対応しながら新たなアイデアや、次世代のものづくりへ向けた提案を行うことを目指すものだ。
会場には新規の19社を加えた、全121社の展示が並ぶ。展示内容は新技術を用いたものから、伝統的技術も用いた素材の提案、洗練されたデザインのインテリアアイテム、未来のエネルギーに関連する技術など多彩。会場は広いが、単純なグリッド状ではない展示ブースのレイアウトで、賑わいや出展者に近づきやすい距離感が生まれている印象。
空間デザインに特化した出展が集まるため、知見の共有がスムーズであることや、興味の方向性が近い人々によるコミュニケーションがしやすい環境であることも、親密な場をつくり出している要因だろう。実際に出展者同士の横のつながりが生まれ、新たなビジネスやコラボレーションがスタートした事例も多いという。
特別企画展「新素材10選」
各メーカーやブランドによる出展ブースの他に、昨年から始まった“素材”にフォーカスした企画展示「新素材10選」も注目を集めた。同企画は建築家やデザイナーが、素材や技術を独自の視点で切り取り、素材や事例を紹介するもの。8人のクリエーターによる10の事例が展示された。
金属の特殊な加工技術で住宅建築金物を中心に手掛けるアイチ金属は、建築家の中村拓志氏、谷尻誠氏それぞれとコラボレートした2つの素材を展示。無垢の金属と同じ質感を可能にする特殊なメタルコーティング技術により、通常のステンレス建具を重厚感とツヤ感のある真鍮のような仕上げとしたもの。細かな金属の繋ぎ目を特殊加工によりなくし、ひとつながりのパーツのように仕上げた部材が並ぶ。
大手照明メーカーの大光電機が開発した発光するタイルを乃村工藝社のデザイナー・松浦竜太郎氏が紹介。1ユニットが150㎜角でアクリル樹脂パーツの中にLED照明が組み込まれている。曲面的な発光部にはエンボス加工が施され、和紙のような質感も特徴。LED照明はDMX方式で制御され、様々な表情に変化する。工業的な技術を用いながらも、どこか自然の情景を感じさせる素材だ。
建築家の芦澤竜一氏は、自身のプロジェクトで取り組んだ、琵琶湖の葦や流木を用いた構造物の提案や、土地の土を活用した素材づくりの可能性を示す。
六甲山や兵庫県の木材を有効活用するプロジェクトとしてスタートしたSHAREWOODSのブースには、個性的な形状のスツールが並ぶ。丸太を木工旋盤により、丸ごと削り出し、木目や年輪の模様、色を活かした形状に加工するため、一つひとつ異なるフォルムが生まれる。伐採後にあえて天然乾燥をせず、自然に生まれる割れも味わいとなるよう考慮され、地産材の新たな可能性を感じさせるデザインだ。
他方、会場では建築やデザイン、空間づくりに携わるプロフェッショナル14組によるセミナーが連日開催された他、出展者によるプレゼンテーション、木材を用いた家具のコンペティションなど多彩なプログラムが展開。
会場には3日間で累計6000人以上が訪れ、クリエーターが「素材を探す」という実務的なニーズを満たすだけでなく、新たなメーカーや人との出会い、これからの暮らし方の多様性など社会を切り開く最先端のアイデアが花開く場となった。
LIVING&DESIGN 公式サイト
http://www.living-and-design.com/
新素材10選 公式サイト
http://www.living-and-design.com/new_material_selection_10/
- 「新素材10選」出展企業(素材) × Recommender
- 1. アイチ金属 × NAP建築設計事務所 中村拓志 氏
2. SHAREWOODS × 阿曽芙実建築設計事務所 阿曽芙実 氏
3. 大光電機 × 乃村工藝社 松浦竜太郎 氏
4. 松下工作所 × 橋本健二建築設計事務所 橋本健二 氏
5. タミヤ × 矢部達也建築設計事務所 矢部達也 氏
6. アナログ × muura inc. 中川泰章 氏
7. アイチ金属 × SUPPOSE DESIGN OFFICE 谷尻誠 氏
8. ヨシ(琵琶湖沿岸の取り組み) × 芦澤竜一建築設計事務所 芦澤竜一 氏
9. 流木(琵琶湖沿岸の取り組み) × 芦澤竜一建築設計事務所 芦澤竜一 氏
10. 土(その土地の土を活かす建築) × 芦澤竜一建築設計事務所 芦澤竜一 氏
※順不同
LIVING & DESIGN 実行委員会
- TEL. 06-6210-1969
- URL. http://www.living-and-design.com/