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ポルトローナ・フラウのフラッグシップショップ

2018.05.01 | REPORT

イタリアのハイエンドな家具ブランド、Poltrona Frau(ポルトローナ・フラウ)の日本初となる公認フラグシップショップ「ポルトローナ・フラウ 東京青山」が3月17日オープンした。オープンに合わせ来日したゼネラルマネジャーのニコラ・コロプリス氏と、デザイナーのロベルト・パロンバ氏に、ブランドの精神とものづくりについて聞いた。

卓越したレザーの職人技

天井の高いガラス張りの空間にゆったりと配置されたソファやラウンジチェア。上質な素材を生かした家具が、ショップに邸宅のようなオーセンティックな心地良さを醸し出している。


ポルトローナ・フラウはイタリア・トレンティーノを本拠地とする1912年創業の歴史ある高級家具ブランドだ。1926年にはイタリア王室御用達となり、豪華客船やフェラーリ車の内装も手掛けている。
日本では2006年より大塚家具が日本総代理店として販売しているが、今回初の旗艦店をオープンすることになった。
その理由について、コロプリス氏は「大塚家具とパートナーシップを組んで日本マーケットに進出して10年以上が経ち、より総合的なブランドの世界観や精神を伝える機が熟した」と語る。


ブランドのアイデンティティーとも言えるのが、しなやかで柔らかい、最高級の革「ペレ・フラウ」だ。厳選された仔牛の皮を熟練の職人技術により加工し、120色もの豊富なカラーバリエーションを誇る。ポルトローナ・フラウ独自の卓越した革の加工技術について、コロプリス氏は次のように話す。


「ブランドの創業以来、100年以上にわたって、革に関する経験と知識を蓄積し、“レザーシップ”とも言うべき、最高峰の職人技を磨いてきました。創業の地トリノは、中世から革の加工技術に優れ、『トッズ』や『ホーガン』などのファッションブランドを生み出した街です。そうした靴職人やテーラーの技術を家具製作にも応用しています。その結果、仕上げと色合いとテクスチャーに関して、素材の良さを最大限に引き出す手法を確立したと自負しています」


レザーチェアに腰掛けてみると、まず滑らかな革の質感に驚き、次に体を包み込み柔らかく沈むレザーシートの心地良さに、いつまでも座っていたい気分になる。「革の魅力は天然の一点ものだということ。染色をしても一点一点違い、シワや血管の痕さえも唯一無二の美しさになるのです」(コロプリス氏)

デザインと快適性の融合

同ブランドを象徴するアイコンとなっているのが、1919年に発表された「1919」。ウィングバックスタイルの「ジェントルメンズチェア」と呼ばれる印象的なロングセラーだ。ポルトローナ・フラウでは、こうした伝統的なデザインを守り続ける「ヒストリカル・コレクション」と、ジャン・マリー・マッソーやネリ&フーといった先進的なデザイナーとのコラボレーションによる「モダン・コレクション」を展開している。


2017年に発表されたソファ「Let It Be」は、ミラノを拠点に活躍するユニット、ルドヴィカ+ロベルト・パロンバによるもの。洗練されたモダンなフォルムと快適性を兼ね備えている。「あるがままに」と言うネーミング通り、横になったり、読書をしたり、テレビを見たりと、さまざまな用途に対応する“居場所”として設計された。サイズやパーツを自由に組み合わせ、レザー製の収納棚やテーブルも取り付けることができる。パロンバ氏はコンセプトについて「ソファの上でいろいろなことができるシーンを想像しました。他の家具の機能も併せ持ち、狭いリビングでもソファ一つで空間が完結します」と語る。


パロンバ氏にとって「革は最も原始的な感覚である触感に訴える、ハッピーでエモーショナルな素材」と言う。そうした革の持つ温かな感触を生かしたのが、ベッド「Mr. Moonlight」だ。ヘッドボードはふっくらとしたクッション性のある革張りで、背中を預けると、まるで胎内にいるかのように優しく包み込まれる。いずれも、レザーの特性を生かしながら現代的なニーズを組み込んだ、知的で品の良いアイテムとなっている。


ポルトローナ・フラウ 東京青山」では、最新の「モダン・コレクション」に加えて、ブランドを象徴する「ヒストリカル・コレクション」も体感できる
ポルトローナ・フラウ 東京青山」では、最新の「モダン・コレクション」に加えて、ブランドを象徴する「ヒストリカル・コレクション」も体感できる


ポルトローナ・フラウのブランドディレクターNicola Coropulis氏(左)と、ミラノを拠点に活動するLudovica+Roberto PalombaのRoberto Palomba氏
ポルトローナ・フラウのブランドディレクターNicola Coropulis氏(左)と、ミラノを拠点に活動するLudovica+Roberto PalombaのRoberto Palomba氏

本物を知る人に選ばれる理由

同社はこうしたオリジナルプロダクトだけでなく、コントラクト事業にも力を入れている。フェラーリやマセラッティなどの高級車や旅客機のファーストクラスシートを手掛けた他、ジャン・ヌーベルによるアブダビの「ルーブル美術館」やヘルツォーク&ド・ムーロンによるドイツ・ハンブルクの劇場「エルプフィルハーモニー」など、著名建築家とのコラボレーションでも実績を重ねている。更に、オリジナルアイテムをカスタマイズするソフトコントラクトにも対応している。ファブリック、レザーなど張り地の変更や、ペレ・フラウの革のみの提供も行なっていて、日本国内ではまずソフトコントラクトを推進していくという。


「イタリアのモデナにある、今最も予約が取れないと言われているミシュラン三つ星のレストラン『オステリア・フランチェスカーナ』にもダイニングチェアを納品しています。先日、15年前のチェアをメンテナンスしたら非常に美しくなりました。ジーンズやワインと同じように時間と共に味が出て、経年が魅力へと変わる家具なのです」とコロプリス氏は言う。
上質な素材と卓越した技術による工芸品のような家具は、デザインにも品質にも耐久性があり、良いものを長く使い続けることができる。結果として、本当の豊かさとは何かを伝える存在となる。それが真のラグジュアリーを求められる空間で、選ばれる理由なのだろう。


ポルトローナ・フラウの家具を彩る最高級レザー「ペレ・フラウ」を並べたレザーライブラリー。96種類以上のカラーバリエーションを持つ
ポルトローナ・フラウの家具を彩る最高級レザー「ペレ・フラウ」を並べたレザーライブラリー。96種類以上のカラーバリエーションを持つ


レザー製の柔らかなヘッドボードを持つ「Mr.Moonlight」。寝るだけでなく、リラックスするための場所として考えられた
レザー製の柔らかなヘッドボードを持つ「Mr.Moonlight」。寝るだけでなく、リラックスするための場所として考えられた


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17年のミラノサローネ国際家具見本市で発表された新作ソファ「Let It Be」。座面を支えるフレームや、オプションの収納棚やテーブルにも革を採用している。Archi products Design Awards2017を受賞 
17年のミラノサローネ国際家具見本市で発表された新作ソファ「Let It Be」。座面を支えるフレームや、オプションの収納棚やテーブルにも革を採用している。Archi products Design Awards2017を受賞

ポルトローナ・フラウ 東京青山

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